代償分割には所得税が課税

代償分割に所得税

代償分割とは、現物分割と異なり相続財産の現物を共同相続人の1人又は数人に与え、その代償として他の共同相続人に対する債務を現物の取得者に負担させる分割方法をいいます。

この場合、他の共同相続人に対する債務の履行に所得税の課税があり注意が必要です。 

相続財産の移転

  • 代償分割は、相続人が代償分割を履行するために自己の資産を代償分割の相手である他の相続人に給付し、代償財産を給付すべき債務の消滅を対価とする資産の有償譲渡として、譲渡所得の課税が行われる場合があります。
  • たとえば、動物病院の経営者である被相続人の動物病院の土地建物を動物病院の後継者で長男の獣医師が相続する代わりに、長男はその代償として他の相続人に以前取得したA宅地 ( 時価7,000万円,取得費2,000万円 ) を給付した場合に、長男にA宅地を7,000万円で譲渡したとして、譲渡益5,000万円に所得税の課税が生じます。

借入金利子の必要経費の可否

  • 不動産所得又は事業所得の基因となる相続財産を代償分割の方法により取得し、その代償として金融機関の借入金により他の相続人に給付をした場合に、その借入金の利子については、不動産所得又は事業所得の金額の計算上必要経費に算入されません。
  • たとえば、貸ビル業を営む被相続人から相続により取得し、その代償として他の相続人に金融機関からの借入金により現金を支払った場合に、その借入金の利子は不動産所得の基因となる貸ビルを取得するための借入金ではなく、代償分割により負担した債務を履行するためのものであるため、不動産所得の必要経費に算入されません。
代償分割に所得税

相続で取得した資産の取得費

  • 代償分割により履行した債務に相当する金額は、その債務を負担した者が代償分割により取得した相続財産の取得費に算入されないので、負担した債務を履行するために借り入れた借入金利子も相続財産の取得費に算入されません。
  • 相続により取得した財産の取得費は、その相続が単純承認したものである場合には、その財産を相続人が被相続人の所有期間も含めて引き続き所有していたものとみなされ、被相続人が取得するために要した価額とされます。
    その相続が限定承認されたものである場合には、その相続時に時価により譲渡があったものとみなされ、被相続人に譲渡所得が発生し、その資産を相続時に時価により取得したものとみなされます。

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